日経新聞:【2006年9月13日】 大阪市地下鉄、経費削減が効果──05年度決算、44年ぶり実質黒字(9月13日)
 大阪市は12日、大阪市営地下鉄事業の2005年度決算で、195億円の黒字を計上したと発表した。04年度も約39億円の黒字を計上したが、一般会計からの補助金で赤字分を穴埋めしたもので、実質的な黒字決算は44年ぶり。景気回復を背景に御堂筋線を中心に乗客が増加に転じたことや、市政改革に伴う大幅な経費削減が主因とみられる。

 市交通局によると、05年度の地下鉄の1日の乗車人員は04年度に比べ約2万5000人増の約235万人と、10年ぶりに増加に転じ、運輸収益が17億円増えて1422億円となった。広告収入も61億8000万円と1億3000万円増えた。

 同局は「景気が回復傾向になり、雇用状態が好転し、通勤客らが増えていることなどが好影響を与えた」と分析している。

 特に御堂筋線が好調だった。同線などが通る心斎橋駅は、昨年9月に「そごう心斎橋本店」が5年ぶりに発祥の地に復活した影響などで、開店後は1日当たりの乗客数が5000人増えて約5万人になった。

 一方、交通局は05年度に経費削減を推進。駅の助役など幹部職員にも窓口業務を担当させて業務を効率化し、職員を88人削減。休日出勤手当を廃止するなど特殊勤務手当も削減し人件費を28億円圧縮した。

 設備面では、車両の座席カバーの取り換え期間を約8年から10年程度に延長。自動改札機や変電機などの機器の点検周期も延ばしてこまめに経費を削った。

 支払利息は高金利時の借り入れ金の返済が進んだため、前年度より約18億円減った。04年度は土地信託事業のフェスティバルゲートの契約解除で45億円の損失があったが、05年度はこれがなくなったことも収支改善に貢献した。

〈経営改善なお遠く──御堂筋線頼み変わらず〉

 補助金を除いても黒字転換した大阪市の地下鉄事業。しかし、100円の費用で184円を稼ぎ出すドル箱路線の御堂筋線とわずかな黒字を出す谷町線の利益を、他の赤字路線が食いつぶす構造に変わりはない。

 運輸収益は1422億円のうち683億円、48%を御堂筋線が占める。補助金を含めた195億円の黒字も、100円の費用でわずか39円足らずの収益しか上がらない長堀鶴見緑地線など六路線の赤字を、御堂筋線が計上した348億円の利益で補った結果だ。それでも交通局は「御堂筋線に頼る構造を抜本的に変えるのは難しい」としている。単年度では黒字を計上したが、累積欠損金はまだ902億円抱えており、経営改善には程遠い状態といえる。

 さらに、12月に開業予定の今里筋線(今里―井高野)の建設費負担が依然重く、借金に当たる年度末の企業債残高は8143億円と前年度より175億円も増加。同路線の延伸問題も凍結されたままで、課題はなお残る。