読売新聞:大阪市、交通局改革へ完全民営化など5案検討
8000億円の負債を抱える大阪市交通局の経営形態について、市が、同局を地方公営企業のまま存続させ改革を進める案を含め、独立行政法人化、公設民営化、100%市出資会社化、完全民営化する計5案を検討していることがわかった。完全民営化した場合、新たに生じる税負担などで、年間純利益は現在より116億円も減少し、負債を全額引き継ぐと経営の継続は困難と分析している。市は、20日開会の9月議会に各案を示し、年度内に結論を出す方針だが、巨額の負債の処理策が大きな課題になりそうだ。
市は、今年6月から「完全民営化」に向けた研究を開始し、問題点などを整理していた。各案について▽地下鉄、バス利用者のニーズ▽市の財政負担や関与の度合い▽財務の自立性、などの視点で比較している。
公営企業として存続させる場合、税金(公租公課)の負担がなく、地方債も発行できるため安定した資金を調達できる反面、市の財政に依存し、経営責任の所在が不明確になるなどとしている。
完全民営化した場合の移行後10年間の試算では、公営企業よりも経費を年間80億円抑え、広告料など関連事業収入を同25億円増やすことが可能で、営業利益は年間110億円増加するとしている。しかし、市からの補助金の減少や、税負担で純利益は逆に116億円も少なくなる。
また、負債返済のため毎年360億円を借り入れなければならず、経営が成り立たないと分析している。
一方、市は完全民営化によって、10年間で1590億円の補助を削減できる上、固定資産税など600億円の市税収入増が見込めるという。
市幹部は「交通事業は、市の補助金などがないと実質赤字経営。現在の事業形態では、早晩立ちゆかなくなる。完全民営化を視野に検討するが、負債の処理がネックになる」と話している。
(2006年09月13日 読売新聞)
日経新聞:【2006年9月14日】 地下鉄など完全民営化を──大阪市政改革会議で要望(9月14日)
大阪市の市政改革のチェック機関である「市政改革推進会議」(委員長・上山信一慶応大教授)が13日開かれ、市交通局の地下鉄・バス事業の経営形態について、完全民営化を求める声が相次いだ。関淳一市長は「参考になる意見で検討する」とした。市は年度内に経営形態を決める方針。
大阪商工会議所副会頭の西村貞一委員は「完全民営化は市の改革の取り組みが分かりやすく、市民へのアピールにもなる」と指摘した。
この日の会議には、交通局が経営形態を変更した場合の分析結果を報告。市が検討を進めている完全民営化や公設民営化のほか、独立行政法人化や市の100%出資会社に引き継ぐ方法、現状のままの5ケースについて分析した。
完全民営化の場合、市が600億円の市税収入が見込めるうえ、10年間で1590億円の補助を削減できる。しかし企業側は経費削減や関連事業収入が見込めるが、市の助成制度を受けられず、税負担が発生するため利益が116億円少なくなるとしている。






