国会で民主党がなぜ政権交代したがる理由が「自公の利権を断ち切るため」でなく「自公の利権を民主党のものとして奪うため」だということが、どうやら今回の大阪府知事選挙で証明されたようです。

 まず大阪府知事選挙を「政権選択の選挙」だと勘違いなさっている方もいらっしゃるようですが、断じて違います。大阪府議会において自民・公明・民主はオール与党として太田知事を担ぎ上げています。馴れ合いの関係です。しかし今回の府知事選挙で「誰を知事にすべきかという一点のみ」について自公と民主で対立しているだけです。新たに知事が決まれば今まで通り仲良しこよしのオール与党へ戻っているものと考えた方が自然です。

 「どこどこの政党支持だから」とか「どこどこの政党が嫌いだから」という理由で府知事を選ぶことがおかしいのです。そんなことは「府議会議員選挙」でやれば良いんです。府知事は自治体の首長、トップです。大阪府役所や財政を動かす権限を持つのです。一方税金を無駄遣いしていないかをチェックするのが議会です。ところが首長が税金を無駄遣いしても議会も馴れ合ってチェックをさぼっていると大阪市役所のような日本一腐った自治体になるんです。大阪市役所ではATCやWTCなどの三セク破綻、オリンピック誘致などで借金5兆円を抱えるようになりましたが誰も責任をとっていません。

 そもそもATCやWTCの建設、オリピック誘致の言いだしっぺは「関西経済界」です。必ず儲かる、上手くいくと言っていましたが皆根拠なき楽観論でした。そして借金だけは大阪府民や大阪市民に押し付けているのです。


 「関西経済界がいつそんなこと言った!行政が勝手にやらかした失敗だ!」と顔を真っ赤にしてお怒りになっている方もいそうなので証拠となる新聞記事を紹介しておきます。以下のサイトをご参照ください。

大阪市問題まとめサイト(大阪府知事選挙特集) : 【大阪府知事選挙】熊谷さだとし氏(民主党推薦)が出馬した本当の理由 - livedoor Blog(ブログ)
http://osakasi.livedoor.biz/archives/50706379.html

 今回の大阪府知事選挙で民主党や社民党は熊谷さだとし氏を応援しています。しかし熊谷氏は旧来の自民党が行ってきた「道路整備」に巨額の税金を使うと公約しています。その必要性を熊谷氏本人も民主党も説明していません。

大阪市問題まとめサイト(大阪府知事選挙特集) : 【大阪府知事選挙】熊谷貞俊氏のマニフェスト - livedoor Blog(ブログ)
【大阪府知事選挙】熊谷貞俊氏のマニフェスト

(中略)

(イ)「大おおさか再興」流通ネットワークを構築します。
●「関西国際空港」「阪神港」などの国際物流拠点と、臨海部の先端産業集積地、内陸部の基盤的技術産業集積地・彩都などを結ぶ「ヒト・モノ・カネ」の流通ネットワークを構築します。高速道路網では、阪神高速道路大和川線、淀川左岸線などの「都市再生環状道路」を整備します。

(ウ)渋滞による経済損失を半減させます。
●大阪の交通渋滞による経済損失は年間約6200億円にのぼります。大阪には160か所の「開かずの踏切」(ボトルネック踏切)があり、その数は東京に次いで全国第2位。鉄道高架化などのインフラ整備を進め、渋滞を解消します。
●高度な知的交通制御システムなどを構築し、高速道路、一般道路での渋滞による経済損失の半減をめざします。

(中略)

(ア) 梅田北ヤードを活用し、新幹線の大阪駅乗り入れを検討します。
●JRおおさか東線、京阪中之島線、阪神なんば線という3路線が現実に近づき、鉄道は東部大阪地域から新大阪に直結します。奈良と神戸も難波を経由して結ばれると、京阪神経済圏の結束はより強まります。高齢化、労働力不足のもとで、通勤圏の広域化、効率化は関西経済への大きなインパクトとなります。
● 2011年の街開きをめざす梅田北ヤード再開発は、わが国最大の再開発事業です。これに合わせて、新幹線の大阪駅乗り入れを実現させれば、鉄道網によるネットワーク化のメリットは計り知れないものになります。梅田北ヤードは、商業施設、ホテルの立地とともに、先端環境技術の粋を集めたナレッジ・キャピタルとして期待されています。ここに水と緑の一大オアシスを創出します。また、私鉄、地下鉄の延伸などにより、西梅田〜新大阪間を結ぶ「新大阪連絡線」計画が浮上しています。特急「はるか」の利用する梅田貨物線(東海道支線)の地下化によって、新幹線の大阪駅乗り入れを検討します。こうした鉄道ネットワークの中心にあるのが、新幹線の起点となる新生・大阪駅(大阪中央駅)と梅田北ヤードです。


 「交通渋滞による経済損失が年間6200億円」というデータに全く根拠が無いことは以下のエントリで解説しました。確かに渋滞により「時間の損失」は発生していますが、その分経済活動しなければ経済損失は発生しません。今流行の「偽装」のデータというわけです。

大阪市問題まとめサイト(大阪府知事選挙特集) : 【大阪府知事選挙】熊谷氏がマニフェスト発表 - livedoor Blog(ブログ)
http://osakasi.livedoor.biz/archives/50685106.html

 「都市再生環状道路」も巨大な公共事業です。渋滞解消のために造るのだと以下のサイトで説明されていますが、果たしてどれだけの利用者の見込みがあり、渋滞解消により誰がどのくらい儲けるのかという説明が一切なされていません。なんとこの計画、総事業費が1兆1934億円、大阪府民一人当たり13万5000円もかかるのだそうです。
(大阪府民880万人のお年寄りから子どもまで「全員」が13万5000円出費するものとして計算。)


調査レポート 大阪都市再生環状道路 淀川左岸線延伸部
http://www.kkr.mlit.go.jp/kansen/research/2-1.html

気になる大阪の数字。ここを改善したい(2)
http://www.goodynet.co.jp/~bunchan/fusei-tayori/051-2.html
2.阪神高速道路の「都市再生環状道路」の
  建設費は誰が払うのか

 阪神高速道路は、通行台数が上の表の計画のとおりに増え続けることにより、これまで建設に投じた費用が回収できる会計システムとなっている。しかし、通行台数の実績は毎年、減り続け、その差は急速に拡大している。阪神高速道路公団の経営にも、赤信号が灯っている。
 その阪神高速道路公団が、来年度から総事業費が1兆1934億円もかかる「都市再生環状道路」の建設を大々的に展開しようとしている。実際、来年度の「都市再生環状道路」事業予算は今年の3.6倍、503億円が予定されている。
 すでに、大阪の高速道路網は、阪神高速道路の環状線・池田線・守口線・東大阪線・松原線・堺線・神戸線・湾岸線と、近畿・名神・中国自動車道、堺泉北有料道路など、きめ細かく整備されている。その上さらに、現実的な必要性や採算性があいまいな「都市再生環状道路」を建設すれば、誰がその巨額の建設費を払うのだろうか。また値上げでは、みんなが迷惑だ。
 府は、来年度の「都市再生環状道路」事業予算のうち71億円負担するが、知事はじっくりと上の表を見つめ直すべきだ。


 熊谷氏はこういう採算性を全く計算しない公約を掲げ、民主党はそれに乗りました。つまり民主党が衆議院で政権を獲得しても旧来の自民党の「道路利権」を引き継ぐだけであって何も変わらないということが、残念にも今回の大阪府知事選で証明されてしまったようです。

回路理論〈1〉